加賀藩研究ネットワーク編『加賀藩政治史研究と史料』が岩田書院から2020年5月に刊行されました。
『加賀藩武家社会と学問・情報』(岩田書院、2015年)につづく2冊目の論文集となります。本書では、執筆者個々が取り組んでいる研究課題に即しながら、『加賀藩史料』からの脱却という課題に意識的に取り組むことを目指し、あらたな史料や、これまで看過されてきた史料などに焦点を当てています。目次は以下のとおりです。
[目次]
本書の意図と概要 木越隆三・宮下和幸
第1部 新しい視点から史料を読み解く
七日市前田家の家譜・系図―幕府・加賀前田家への提出に注目して― 鎌田康平
明暦~寛文期における加賀藩人持組の構成―「古組帳抜萃」の分析― 見瀬和雄
今枝直方著述史料についての基礎的研究―加越能文庫蔵本から見る― 小酒井達也
加賀藩の貞享由緒帳をいかに評価するか―前田綱紀の藩権力強化策― 石野友康
前田土佐守家文書にみる加賀藩主の御親翰 竹松幸香
加賀前田家年寄の御用番勤め―「類聚御用番記」の検討から― 林亮太
第2部 史料批判と新たなまなざし
「寛永諸家系図伝」編纂における加賀藩の系譜情報収集 岡嶋大峰
地方知行形骸論と給人平均免の史料学―寛永十七年・十八年「新知行出」の再検討― 木越隆三
十村御用留論―近世中後期の越中国礪波郡十村の郡中支配・運営― 上田長生
「勤王」が地域にもたらしたもの―近代における「旧藩」の編纂事業とその叙述― 宮下和幸
会が発足して10年が経過し、新たな一歩を踏み出す記念論集でもあります。この一冊が藩研究の活性化へとつながり、さらに研究が進展していけるように取り組んでまいります。
[岩田書院]『加賀藩政治史研究と史料』